FOOD FOR LIFE, LIFE FOR FUTURE

動物の健康

法律の枠からこぼれ落ちる命、そして壊される環境にいま、声を上げる


近年、人・動物・環境の健康を一体として守る「ワンヘルス(One Health)」や「動物との共生」という言葉を、行政のパンフレットなどでもよく目にするようになりました。

しかし、その中身を見てみると、飼い主がいるペットへの義務的なワクチン接種や登録の徹底など、すでにルールが決まっている「表側のきれいな話」ばかりが強調されがちです。家族として迎えられたペットにワクチンを打ち、適正に育てることは飼い主として当然の責任ですが、それだけで本当に「動物との共生」や「豊かな環境」が守られていると言えるでしょうか。

私たちが本当に目を向けなければならないのは、そうした法や制度の枠組みからこぼれ落ち、社会の歪みや行き過ぎた開発のなかで苦しんでいる「見えづらくされている命と環境」の存在です。

1. 人間の都合で奪われる、野生動物たちの故郷(環境崩壊)
いま、「クリーンエネルギー」や「環境配慮」という大義名分の裏側で、本末転倒な自然破壊が進んでいます。

メガソーラーによる大規模開発と森林伐採:広大な森が切り拓かれ、山の保水力が失われることで、そこに生息していた野生動物たちは住処を追われ、生態系が根底から崩壊しています。

風力発電による低周波音被害:巨大な風車がもたらす低周波音(低音災害)は、周囲に生きる動物たちの感覚や自律神経を狂わせ、目に見えない形で生命を脅かしています。

近代農業における農薬の大量散布:効率を重視した農薬の散布は、土壌や水を汚染し、虫や鳥、身近な小動物たちの命のサイクルを断ち切っています。

環境を守るための開発が環境を壊し、生き物たちの生存権を奪っている――。この矛盾に目を瞑ったまま「ワンヘルス」を語ることはできません。

2. 社会の隙間で苦しむ、身近な動物たちのリアル

私たちの足元にある地域社会でも、制度の隙間で苦しむ命があります。

ブリーダー崩壊や飼育放棄(ネグレクト):ビジネスの道具として扱われ、崩壊と同時に見捨てられる命や、家庭内で虐待を受けながら声を上げられない動物たちがいます。これらは飼い主の孤立や経済困窮といった「人間の社会問題」とも深く繋がっています。

ボランティア任せの野良犬・野良猫問題:地域の野良猫や野良犬の保護、TNR(不妊手術)活動のほとんどは、行政からの十分なサポートがないまま、地域の有志やボランティアの皆さんの「善意と自己犠牲(自費・不眠不休の活動)」だけに丸投げされているのが現状です。

命を救う最前線にいるボランティアの方々が心身をすり減らしている現状は、ワンヘルスが目指す「人の健康」という観点からも決して持続可能ではありません。

義務のワクチンや、綺麗事の標語だけでは命は救えない

飼い主への義務化やマナー啓発、エコを謳う開発。それらは一見正しく見えますが、山を追われた野生動物や、ブリーダー崩壊で見捨てられた犬、屋根のない場所で飢えている野良猫を救うことはできません。

本当の「動物との共生」や「ワンヘルス」を地域に根付かせるために必要なのは、綺麗事の標語を並べることではなく、開発の暴走を止め、制度の隙間にいる命に、行政や社会がしっかりとしたサポート(資金・場所・仕組み)を行う体制を作ることです。

ボランティアの善意に頼り切り、自然の犠牲の上に成り立つ「偽りの共生」はもう終わりにしなければなりません。

「命と食を守る会」は、この見過ごされがちな現場のリアルと環境の危機を訴えかけ、人間も、動物も、そして大自然も、すべての「命」が本当に健やかに調和して生きられる地域を目指して活動を続けてまいります。